お向かいさんに恋をして

テーブルに突っ伏した留奈さんが、顔だけ上げてこちらに向けた。

「あたしぃっ……さくらはんにはしややしぇになてほちかったにょ……。
たくさんたくさん、むせきゅにんにおーへんしちゅったから……。

こくっちぁえとかぁ、きっとだいじょぶだよ、とかぁ……。背中押してくっつけてみたりとかぁ。

たのしー恋してほしくて、むしぇきにんなおーへんばっかでさくらはんこまらせちゃった」

呂律の回らない舌を懸命に動かしながら、留奈さんは申し訳なさそうに眉を下げた。

聞き取れる範囲で何となく理解した内容としては、私の恋を応援したことを悪いと思っているらしい。

無責任な事を言って私を困らせた、だなんて留奈さんったら……。

留奈さんが申し訳なく感じることなんて、これっぽっちもないのにな。

『いえ、留奈さんがそういう風に思うことなんて、無いんですよ。
助けて貰ってばかりで、感謝しきりです』

『れもっ……』