お向かいさんに恋をして

「留奈さん、折角のご提案ですが……」
「行ってみたいっ! ね、さくらちゃんっ! わたし居酒屋行ったことないのっ!

デビューしたい、デビュー!」

「え?」

キラキラ笑顔が眩しいきなこちゃんが、両手をグーにして胸の前でウキウキと振っている。

「良いの? きなこちゃん、お父さんが……」

「あぁ、いいの!
お父さんが煩すぎて今まで行ったことなかっただけなんだっ! 興味はあったの! ほら、部活してる友達とか先輩と打ち上げとか行ってるし!

どうせいつかは行くし? えっと、社会に出たら飲み会? とかで!
チャンス到来だよっ!」

心の底から楽しそうなきなこちゃんに頷いた。

「実は私も行ってみたかった、かな?」

「よっし、決まりねっ!」

私達三人は笑いあって、公園を後にした。