お向かいさんに恋をして

家に帰ると一人でぐるぐる考えて、きっとまた泣いてしまう。秋中さん達とアパートで鉢合わせする可能性もあるし、そうじゃなくても帰宅の足音とか聞こえたらやっぱり考えてしまいそう。

まだ帰りたくないな……。
優しい二人に甘えちゃおうかな……。

「えっと、付き合わせっぱなしで本当に申し訳ないんだけど……。付き合ってもらっても……いい、かな? ご飯とか……?

って、あっ! 夕ご飯には早いよね、えっと、じゃあ……」

赤から藍へとグラデーションを描く空を見上げながら、これからどうしようか考える。パッと思いつきを口にしてみたけど、そんな時間でもないことに気がついた。

「うん、ご飯行こっ! 何でも付き合うって言ったでしょっ!」

「会場歩き回ったしね、お腹空いたかもっ! ちょっと時間は早いけど、良いんじゃない?」

二人はニコッと笑いかけてくれた。