お向かいさんに恋をして

「……もう、大丈夫……。
ありがとう、留奈さん、きなこちゃん」

気が済むまで泣いて、顔をあげた。

ハンカチを取り出して目元を拭う。
目、きっと真っ赤なんだろうなぁ……。

「少しはスッキリした?」

「うんっ!」

心配そうにこちらを伺うきなこちゃんに笑って見せた。

「ほらっ! また無理して笑うっ」

留奈さんにペチッと肩を叩かれた。

「痛いですよ~留奈さん」

全然痛くないけど、ふざけて肩をさすってみせた。

「痛くないくせに~! さくらちゃんったら~」

留奈さんはケラケラと笑っている。

「あはは、ばれました? さ、そろそろ行きましょうか! ずっとベンチに座ってたら、お尻が痛くなっちゃいましたねっ」

私が勢いよく立ち上がると二人もそれに続いた。