お向かいさんに恋をして

呆然として動けない私の背中を、きなこちゃんが優しく撫でてくれる。

留奈さんは「な、何かないかしら?」と、おろおろしながら紙袋を漁り、ペットボトルを取り出して私に持たせてくれた。

「さくらちゃん、とりあえずそれ飲んで、少し落ち着こ? ね?」

「……はい、すみません……」

留奈さんへの差し入れなのに……。

「安達、これ全部あげるっ!
わたし達急用思い出したから行くわねっ! さ、行こっ!」

きなこちゃんは安達君に無料券を押し付けて、私の背中を押した。

きなこちゃん、あんなに無料券喜んでたのに……。

私、気を遣わせてばっかりだ……。本当に二人に申し訳ない。

「お、おい! どうした急に……」