お向かいさんに恋をして

「あ、もしかして……。奥さまのことかしら? 春から離ればなれの。

やっと会いに来てくれるんだって、先週嬉しそうに話してたから。

そうそう、そうだわ。
単身赴任でなかなか会えないと寂しいですねって、返したのよ」

私、きなこちゃん、留奈さんは揃ってフリーズした。
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃が走る。

「お、奥さま……」

どうにかその言葉だけ、絞り出した。

「ええ。名前までは分からないけど、秋中さん愛妻家らしいから、多分そうだと思うけど。どうして?」

私は力なく頭を左右に振る。

「いえ、なにも……ありがとう、ございました……」

「? じゃ、私は行くわね」

美奈さんは留奈さんに紙袋を渡し、去っていった、