* * *
暗闇を歩き、案内されたのは小さな小屋だった。
パチパチと音を立てて、薪が暖炉の中で黒くなっていく。
憲兵だと思っていた男は、この国の王だった。
そしてかの王は今、私の目の前で温かいスープを注いでいる。
「古風な暮らしが好きなんです。庶民的な暮らしも嫌いじゃない。」
貴女はどうですか?なんて言いながら頂いたスープは何とも美味で、思わず息がこぼれる。
彼は実に王らしくなかった。
豪華な衣服に身を包み、一言で人を道具にする我が主とは違う。
質素な服装にぼさぼさの髪の毛。
指は包帯だらけで、爪は汚れている。

