待てよ。 この男、今私に…“貴方の国とは大層違うでしょう。”と言わなかったか。 私は自分について何一つ、語ってはいない。 ならば何故、私の国を知っている。 何故――。 振り返ると、男と目が合った。 曇りのない…澄んだ瞳がランプに照らされて煌々と輝いている。 その瞳を見た時、私は悟った。 見た事がある。 私は彼と会ったことがある。 彼は憲兵ではない。 彼は――。