ジョンは散歩が出来なかった。

別に体が悪かったわけじゃない、むしろ体が悪かったのは祖父の方だった。

いつも世話しているのは祖父だった。

その時の祖父はケガの影響か何かで足が悪かった。

今は毎日祖母と散歩に行くくらい元気だ。


だから、ジョンは散歩したくても出来なかった。

じゃあどうしたかと言うと、小屋と繋がれている鎖を首輪に繋げて、檻から出してあげていた。

でも、鎖も短く5メートルくらいしか走ることが出来ない。

ちなみに祖父母の家は祖父の敷地の中にあるため、出しても車に轢かれたりとか、知らない人に触られたりとかいう事はない。

時々、仕事の関係でトラックが通るが、出してあげている時はもう仕事が終わっている時間帯なので轢かれる事はなかった。


私は、檻の中から出たジョンと触れ合った事はなかった。

それは、少し恐怖心があったのと母に汚いだろうからあまり触るな、と言われた事が理由だった。

別に汚くはなさそうなんだけどなーと思いながら、思いっきり走る事の出来ないジョンを覗いていた。


思いっきり走っても、鎖が邪魔して前へ進む事が出来なかった。

するとジョンは必死に前足を出して進もうとしていたのだ。

可哀想だ・・・と思っていたので心の中で大きくなったら一人で遠くの場所まで散歩に行ってあげよう!と決めていた。

そしたら目一杯走らせてあげよう!と思っていた。