「それは辛かったやろーな。」 またドキッとした。 胸が締め付けられる感じ。 「あっ、せや。名前教えてや。」 かみにサラサラっと「鮎川萌心」と書いて見せた。 「なんてよむん?」 今度はひらがなで「もこ」と書いた。 「もこか。俺は坂本樹。」 樹くんか……。 あたしはペコっと頭を下げて「よろしく」とかみに書いて見せた。 「あ、こちらこそ。」 樹くんに最初にみせた「ごめんなさい」と言う字。 「ごめんなさい」が恋の始まりだった。