生け花の稽古が終わった彼方は時雨を探していた。
(さっきの時雨なんだがいつもと違った。何かあったのかな)
時雨はもともと口数が少なく表情が少ない。感情を表すことが苦手で無愛想に思われることが多い。しかし彼方は幼い頃から一緒にいたからか、時雨のちょっとした感情の違いに気づくのだ。
「あ、時雨」
居間から一番離れた空き部屋を掃除している時雨の姿がみえる。彼方に気づくと何故だか気まずそうな顔をして目をそらす。
「?時雨。どうして目をそらすの?朝からなんだかおかしいけど具合悪いの?」
「いや、別になんでもない。それよりホコリすごいから離れた方がいいよ」
長いこと物置として使われていただけあってかなり中は汚れていたようだった。ホコリに日差しがかかり、キラキラと光っている。
「その生け花どうしたの?」
「これ?さっきのお稽古で活けたの。きっと殺風景だろうと思って持ってきたの」
どうかな、と抱えていた生け花を嬉しそうに時雨に見せる。昔から活けた花を見せると綺麗といって嬉しそうにしてくれていた。いまでもたまに時雨に活けることもある。だから、きっとまた喜んでくれるだろうと活けたのだ。
「....」
「時雨?」
(いつもなら喜んでくれるのに)
時雨は一向に笑おうとしない。それどころかますます悲しそうな顔をした。
「それ貸して。掃除終わったら置いておくから」
「あ....うん」
ここまで時雨の考えていることがわからないのは彼方にとって初めてのことでどうすればいいのかわからない。
彼方は生け花を時雨に渡すと自分の部屋へ戻った。
「時雨どうしちゃったんだろう」
不安や心配は残るが、このまま問いただしても逆効果ではないかと引き下がるのであった。
(さっきの時雨なんだがいつもと違った。何かあったのかな)
時雨はもともと口数が少なく表情が少ない。感情を表すことが苦手で無愛想に思われることが多い。しかし彼方は幼い頃から一緒にいたからか、時雨のちょっとした感情の違いに気づくのだ。
「あ、時雨」
居間から一番離れた空き部屋を掃除している時雨の姿がみえる。彼方に気づくと何故だか気まずそうな顔をして目をそらす。
「?時雨。どうして目をそらすの?朝からなんだかおかしいけど具合悪いの?」
「いや、別になんでもない。それよりホコリすごいから離れた方がいいよ」
長いこと物置として使われていただけあってかなり中は汚れていたようだった。ホコリに日差しがかかり、キラキラと光っている。
「その生け花どうしたの?」
「これ?さっきのお稽古で活けたの。きっと殺風景だろうと思って持ってきたの」
どうかな、と抱えていた生け花を嬉しそうに時雨に見せる。昔から活けた花を見せると綺麗といって嬉しそうにしてくれていた。いまでもたまに時雨に活けることもある。だから、きっとまた喜んでくれるだろうと活けたのだ。
「....」
「時雨?」
(いつもなら喜んでくれるのに)
時雨は一向に笑おうとしない。それどころかますます悲しそうな顔をした。
「それ貸して。掃除終わったら置いておくから」
「あ....うん」
ここまで時雨の考えていることがわからないのは彼方にとって初めてのことでどうすればいいのかわからない。
彼方は生け花を時雨に渡すと自分の部屋へ戻った。
「時雨どうしちゃったんだろう」
不安や心配は残るが、このまま問いただしても逆効果ではないかと引き下がるのであった。

