あなたの記憶をください

「あ、はい」

俺らは廊下で10分ほど待った
待っている間美紀と普通に他愛のない話をした
そして、夏蓮のお母さんが出てきた
少し泣いていたが俺らは知らないふりをした

「あぁーごめんね、お母さんといろいろ話しててさ!その、勉強どうしようとか学校いつからいけるんだろうとか!」

夏蓮はなにか焦ったように言葉を発していた

「あ!そうだ、も、もうすぐ退院できるかもだって!それでね...... 「うそついてる」
「え?」

突然美紀が、そんなことを言い出した

「夏蓮ほんとのこといって
私からこんなこと言うのは嫌だけど
退院なんて出来ないんじゃないの?
ほんとはもう、長くないんじゃないの?」
「なんで?嘘言うわけないじゃん」
「じゃあ、なんで泣いてるんだよ」