彼の家についた。家っていってもアパート。『って…独り暮らしじゃん!!!!』
一人用のソファー、一本の歯ブラシ、少ない皿の枚数…。
どうみても一人暮らし…。
「あの…独り暮らしなんですか?」
思わず聞いてみる。
「うん♪♪そーだよ!」
『うん♪じゃないだろ!!普通独り暮らしで10代の女子を家にあげるか?!』
彼の鈍感さに少々心の声が荒くなる。

彼…彼…あ…
「あ!そう言えば名前教えてください!
何て言えばいいか分かんないので」
彼はにこにこ笑顔で
「町田 星夜!せーやって呼んで!」
だそうです。
そんなに語尾延ばしませんけどね。
「君は?」
「芦田 凜です。」
「じゃ凜って呼ぶから!」
「どうぞ。」
世間ではこういう人を自由人というのだろう。この人にぴったりだ。

星夜さんがコーヒーをいれてくれた。
ちなみに星夜さんはオレンジジュース。
コーヒーが飲めないらしい。この人らしい。

何となく二人で話してる内に星夜(話の途中で「星夜さん」と呼んだら「せーやでいいよ!」と返ってきた)の事がだんだんわかってきた。
両親は離婚して母に育てられたが、母が病気で亡くなったこと。
仕事はヘアスタイリストの卵だということ。
私も沢山話した。
学校の校長のこと。
母が最近夜遊びばかりしてること。

なぜか星夜と話していると、もっともっと話したくなった。
星夜も星夜なりに苦労してきたことも分かった。
自然と凜は…
私と正反対の人格の人に

魔法にかかっていたのだ。