「ねぇ、佐藤仁香サンてアナタ?」
そう話しかけてきたのは、荒木由奈の方だった。
「…そうですけど?」
私は警戒心を捨てきれない様子で答えた。
「やだぁーそんなケイカイしないで?」
…いや、するでしょ。
可笑しそうに笑っている彼女を見ながら、私は話しかけられた理由を考えた。
分からない。
いくら考えても理由は出てこない。私と荒木さんは、何の繋がりもない(繋がりを持ちたいとも思わない)。
そんなことを悶々と考えていると。
「由奈!何してんの?」
荒木さんの取り巻き達が、私の目の前で笑っている彼女を呼んでいる。
「はいはーい!今行くっ!…じゃ、佐藤さん、またね☆」
…意味不明。
