目の前にいる七瀬は顔を引きつらせている。

「あ、ごめん。」

「いや…」


…かと思ったら手で顔を隠して反らした。


「七瀬?」

「たく、無自覚だからタチ悪いよなぁ」

「な、何の話よ…」

「…顔近づけて、誘ってんのかって言ってんの」


さ、さそっ?!

ボンっと、自分でも顔が赤くなるのがわかった。

「誘ってなんかないから!馬鹿!!」

「はいはい、わかってるって。」


適当にあしらう七瀬に、あたしはむっと頬を膨らませた。