ルッキング・フォー・ラブ ☆リアル・ファミリー☆

( あくる日、会社のエスカレーター )
 
上りのエスカレーターに乗る由香。

下りのエスカレーターに乗る幸弘は心配そうに見つめている。

後ろ手を組んで怒った表情の由香。

すれ違った後、振り返って見ると、

由香は腰の辺りで後ろ手でハートマークを作っていた。

幸弘は思わず叫ぶ。

「良かったー!ありがとー!

本当にありがとー!!」

いぶかしげな周囲の人々。

幸弘を振り返って微笑んで見つめる由香。

渋い表情で首を振る辻村部長。

( コンビニ前 )
 
 親士がバイクの横で誰かを待っている。

そこへ弘と武司がバイクでやってくる。

「何、おっさんを待ってるのかよ?」

「あぁ。」

「約束忘れてんじゃないの?」

「それは無い!」

「なんで言い切れんだよ!」

「あいつは俺との約束をすっぽかすような奴じゃない。」

弘がバカにしたような口調で

「へぇー。マブダチなんだ?」

「・・・あいつは小学生の時、

俺が川でおぼれた時にただ一人飛び込んで助けてくれたんだ・・・

自分もたいして泳げないのに・・・

自分のために命かけてくれるツレがお前らには居るのかよ?」

弘と武司、顔を見合わせ言葉に詰まる。

そこへ幸弘が到着したので親士が言う。

「じゃぁな、珍走団。

俺達、出っ発(デッパツ)するわ。」

即、武司が反応して切れる。

「誰が『珍走団』だ!暴走族だぞ!

こらぁ!今日こそやってやる!」

すると親士は武司の右に立ち、

一転してにこやかになだめにかかる。

「まぁ、まぁ、そう怒るなよ。メシでもおごるからさ。」

と言いながら武司の右脇から左手をいれ

背中越しに左手をつかみ、右手で思いっきり腹を殴る。

うめいて倒れる武司。見下ろしながら親士が

「『牛丼のアンコかけ』だな・・・

甘い、甘い・・・幸弘、メシ行くか?」

「あぁ、何食う?」

そう話しながらバイクで走り去る二人。

取り残される弘と武司。