四月一日-エイプリルフール-





だから、言わなきゃ。



「嘘です。

今日は、エイプリルフールですよ」




無理やり作った笑顔は、歪んで無いだろうか。



先輩は、ホッとしたようにこちらを見て、苦笑した。



「なんだ、嘘か。
お前、可愛んだから悪いやつに今の言ってたら冗談ですまなかったぞ」



「じゃあ、私はエイプリルフールに先輩の困り顔が見たかっただけなので」



先輩は、引き止めるようなことを言ったような気がするけど、何も気付かないフリをしてその場を去った。