虎と雪女

「っるせ!いいだろ別に!!」

「おおっ、素直ですなあ」

「立松っ……あとで覚えとけよ」






否定しない……。



そのことがまた胸をきゅーっとさせる。






そんな私と五条の様子を穏やかに見守っていた藤田先生がいたとは、露知らず。







「先生があみだを作ってきたので、これに名前を書いてもらいます」





教卓から紙を一枚取り出して窓側の一番前の児童から、スタートさせた。




ええっと……私が書いて、後ろに回すから……。




五条と私でいうと、私のほうが先に書くのか。






「雪ちゃん雪ちゃん」





美景ちゃんが私のほうを振り返って、いたずらっぽく笑った。





「虎と隣になれるといいね」

「……っ」





隣……隣……。



もし隣になれたら……。





「……うん、そうなったらいいかな」






ほそっと呟いた言葉はきっちり美景ちゃんに届いていたようで、くしゃっと頭を撫でられた。