ミーンミーンと網戸の外からセミの鳴き声。



8月の半ばをちょっと過ぎた。



初日に五条たちと遊んでから、その後誰とも遊んでいない。



五条からまた電話がかかってくるかと思いきや、全くだった。





「冬美」

「なに?あれ、姉ちゃん今日もおしゃれだね」





変わったことといえば、姉が前よりずっと可愛くなったこと。



どうしてだと尋ねても知らないと返される。





「まあな」

「どっか行くの?」

「あぁ、ちょっと出掛ける。今日は泊まるかもしんねえから」

「ふうん……え!?」





姉ちゃんも泊まり?じゃあ私今日1人!?





「どこに泊まんの?」

「あー…………彼氏」

「!?!?」




か、彼氏?姉ちゃんに彼氏!?




驚きのあまり、持っていた鉛筆を落としてしまった。





「そういうことだから、じゃあな。なんならお前も友達の家に泊まれよ」

「え、うん」





そう行って姉は家を出ていった。






な、なんだ。姉ちゃんが最近ちょっとおしゃれになったのって彼氏ができたからなのか。




唖然とする私は、一階で鳴り始めた電話に気づかなかった。