虎と雪女

「おまっ、それ聞くか!?」




声をあらげて言うもんだから、周囲の人たちが怪訝そうな表情をした。



それに気づいたのか、今度は小さい声で答えた。





「それは聞くなよ」

「なんで」

「なんでって……」





ごにょごにょと言葉を濁す五条だったが、なにか思うことがあったのか、溜め息を吐いた。




五条に溜め息吐かれるのってちょっと……。





「俺、そういうのしたことなかったから。ちょっとは勉強しようと思って」




そういうの、という言葉に考え込んだ。




しかし、それが恋愛ということだと認識すると私の頬が赤くなった。



ま、まじか。



適当に、手に取ってきた本を開いて顔を隠しながら後悔した。




聞くんじゃなかった!




それはさすがに五条も言いにくかったろう。





「はあ……。男がこういうの読むってすっげえ嫌だけどな」




私はじとーっと睨まれながら苦笑いするしかなかった。