虎と雪女







更衣室で服に着替えながら、立松に連れられてきた五条を思い出す。




バツが悪そうに目を合わそうとしなかったあいつを見て、五条でもこんな態度を取ったりするんだなと今更ながら思った。





「雪ちゃん、どこで遊ぶ?」

「うーん……できれば涼しいとこがいいよね」




更衣室を出て、美景ちゃんが濡れた髪を気にしながら聞いてきた。




どこでもいいけど、外は嫌だな。





「まあ、虎たちにもよるしねえ」

「そうだね。って、五条なら余計外で遊びたがるんじゃないの?」

「それは大丈夫。雪ちゃんが一言“涼しいとこがいい”って言えばそれに従うよ」





ふっふっふ、と含み笑いをしながら楽しそうに喋る美景ちゃん。






「あ、もう立松たちいるじゃん」






前方にある男子更衣室の傍で待っている2人を美景ちゃんが指しながら、足は少し速くなる。





「女子って遅いよなあ」

「ごめんって」

「どこ行く?行きたいとこあるのか?」

「はいはーい、女子チームは涼しいところで遊びたいでーす」

「涼しいとこ……家?」





立松と美景ちゃんが仲良く話をしているが、もしかして……。


いや、まさかね。


美景ちゃんと私は親友だし、親友だし。


なにかあったら話してくれるはず。





「虎、図書館でもいいか?」

「図書館?」

「俺ん家無理だし、澤田も今日は駄目ってよ。虎と雪女のどっちかの家が行けるんならそこがいいけど」




私は……確か今日は……。




「父さんの会社の人たちがたくさん来てるから無理かな」

「俺も、今日は兄貴が友達何人も連れ込んでるから、部屋使えねえ」




五条、お兄さんいたのか。初知りだ。





「じゃあ、図書館な」




そう言って立松と五条を先頭に、門を出た。