それを聞いた花本さんは、驚き、唇を噛み締めて、嫉妬する女そのものだった。




虎は花本さんの好意が自分に向いていると、気づいているの?




散々告白されてきた虎だ。
今までだってこういう場面は幾度かあったと、立松から聞いたことがある。




きっと気づいている。





「なによ」

「あん?」

「優のどこがあの子に劣ってるの?優のほうが可愛いし、モテてるし!」





こういう女子はどこにでもいる。


雪ちゃんがいつか言っていた。



いつの時代も、こんな風に喚く女の恋はほとんど実らないと。




まさにその通りだ。




それに、どこが劣ってるのかって?


そんなの全てにおいてだよ。


性格も、容姿も、頭脳も、ルックスも全部全部雪ちゃんのほうが何倍も綺麗。




ムカムカしながらその話を聞いてると、虎はくるりと向きを変えて歩き始めた。





「と、虎くん!?」





慌てて花本さんは虎の袖を掴んだ。



虎は振り向かずに呟いた。
















「触んなドブス」