虎と雪女


「虎くんはさ、佐々原さんのこと好きなの?」

「は!?」

「いつも喋ってるし、噂もあるから」




にこりと楽しそうに聞いている花本さん。


虎はというと、顔を赤く染めている。


今日の最高気温は38℃。





「……なんでお前にそんなこと言わないといけねえんだよ」

「えー、だって知りたいもーん。あんな子のどこが良いのかさあ」





あ、言った。


私はため息を吐いて花本さんを呆れた顔で眺める。


虎に言ってはならないワード。


雪ちゃんを貶す言葉を発すると、虎に嫌われると思ったほうがいいよ。




虎は花本さんのその言葉を聞いてあからさまに目を吊り上げた。




「あんな子ってなんだよ。じゃあなにか?お前は雪女より可愛いとでも思ってんのか?」




へらへら笑う虎や、真っ赤になって怒る虎。
優しい虎に、ぶっきらぼうの虎。


そんな虎は見たことがあったうだけど、今の虎は見たことがないのか。



眉間にしわが寄ってるわけじゃないし、表情こそは目が吊り上がっているだけ。




なのに後退りをしてしまうほど怖いと感じるのは、その雰囲気やオーラからだろう。





「な、なによ。私はただ好きなの?って聞いただけじゃない」





実際、花本さんも一歩、さがった。