確かあの子は……花本さん?




私はその場に突っ立って何気なく花本さんを見ていると、虎のそばで止まった。



虎も花本さんに気づいたようで、「なんか用か?」なんて聞いている。




私は2人の声が聞こえる距離まで歩み寄る。




「虎くん、偶然だね」

「は?誰だお前」

「3組の花本優だよ。覚えてないの?」




花本さんは自分を指差して首を傾げている。



な、なんじゃあのポーズは!

可愛いと思ってんの!?


はっ、まさかあの女虎を狙って……!?




「球技大会のとき少し話したじゃん」

「そうだっけ?」

「もう、虎くんって忘れっぽいんだね」




あはは、と虎の胸を片手で軽く押し、「やだあ」とか言ってる。



う、うざ……。



虎もそれが鬱陶しかったのか、眉を寄せている。



ばっかだね花本さん。



虎には雪ちゃんがいるって噂知らないの?




そんな風に思っていると、急に話題が変わった。