(美景視点)
_____

___

__





私は夏休みが始まったということで浮かれていた。


なにをしようか、誰と遊ぼうか。


そんなことをワクワクと考えながら近くのスーパーでアイスを買った帰りのことだった。





「あれ?」





見知った人物が公園から出てくるのが見えた。



あのツンツン頭は……もしかして。



そう思って小走りに近づいてみると、やはり。


虎だった。





あいつなんでこんなとこにいるんだろ。




夏休み初日で、雪ちゃんにどう誘うべきか悩んでるかと思ったのに。




私はサンダルをぺたぺたと音をたてながら、どうせなら驚かせてやろうとそろーりそろーり後ろを追った。





「……なにやってだあいつ」




公園の角でこっこり様子を見てみると、なにかを探しているようだった。




なにを……あぁ、あれか。




目的のものが見つかったようで、しゃがみながら白いものを手にした。


野球ボールね。


公園でやってたけれど、誤って公園の柵を越えたんだな。





ふっふーん、チャンス!





私は抜き足差し足忍び足で10mまで寄った。





驚いた顔を笑いながらからかってやろう。




うしし、と笑っていると前から女の子が歩いてきた。