虎と雪女


「うきゅー、気持ちいいねえ雪ちゃん!」

「そだねー」





美景ちゃんが隣にきて嬉しそうに笑う。


プール独特の匂いが鼻を掠める。





「これからなにする?」

「ウチは暑かったから行こうって言っただけ」

「俺は澤田が行くって言ったから……」

「全く、嘘は吐くものじゃないぜ虎」






また始まった。

この2人が揃うとすぐ五条をいじるんだもん。

気持ちがわからなくもないけど。





「は?」

「またまたあ。雪女が行くって言ったからだろー?」

「違えぇ!!」




立松が五条の肩に腕をまわして「ん?ん?」とにやけている。


五条はその手を払い退けようと眉間にシワを寄せている。




「あ、ねえねえ虎」





不意に美景ちゃんが五条に話しかけた。

しかし視線は五条にはない。



五条も立松も動きを止めて美景ちゃんのほうを向いた。





「あの子、花本さんじゃない?」






美景ちゃんは指を指して「ほらあれ」とプールの中にいる、どこかを示した。