ドスドスと音を立てて階段からおりたお姉ちゃんを他所に、私は受話器を耳にあてた。
開けてある窓からは静かな風が入ってくる。
「はい、佐々原ですが」
私の家の番号を知ってる人といえば、美景ちゃんやごく一部の友達だけど。
美景ちゃんかな?
そう思って「もしもし?」ともう一度言ってみると、なかなか返事がない。
おかしいな。
まだ繋がってるよね?
「もしもーし」
再度電話の向こうに呼び掛けてみる。
すると数秒後、相手から[も、もしもし]とどもった声が聞こえた。
「もしもし、どちら様ですか?」
[あー……えー……と。お、俺……]
「……俺?」
[だっ、その……っせ!黙れ!]
その黙れは多分私ではない。
向こうからは他の人の声も少し聞こえるから、その人に向けて言ったのだろう。
何人いるんだ。



