今家には私とお姉ちゃん以外にいない。
必然的に電話は私かお姉ちゃんのどちらかが取らなければならない。
「冬美、とってこい」
「やだよ。今勉強中」
「姉に逆らうのか?」
「そっちこそ、そんな態度とっていいの?もう勉強教えないよ?」
「あぁ!?」
美人が眉間にシワを寄せている姿はなんとも迫力がある。
しかもドスのきいた声は、一体その美しいお姉ちゃんのどこから出ているのか。
「学年で下のほうになると、困るのはお姉ちゃんでしょ。塾に行かされたいの?」
「……チッ」
ギロッと睨み、舌打ちしながら部屋を出ていった。
塾に行かされたいの?と言うと、必ず引けないお姉ちゃん。
私としても、お姉ちゃんは塾に行ってほしいんだけどねえ。
「はい、佐々原ですが」
いつもよりワントーン声が低いのは、私のせいだろう。
溜め息を吐きながら別の参考書を開いた。
えっと、ここがこの公式だからこっちは……。
なるほど……。
参考書を見ながら問題を解いていくと、開きっぱなしだった扉から入り、私の机に「電話」とだけ言って戻って行った。
「……電話?」
誰だろう。



