「雪ちゃん心配したよー!もう大丈夫?」
「うん、ありがと」
もう痛くないし、秋山先生のところに行って許しを得た。
丁度前半をやっている最中で、試合に出てない女の子が私を見るなりかけってきてくれた。
「2組との試合、あの後大変だったんだよ!」
「なにかあったの」
「虎がね__________」
そこまで言って言葉を切った。
一度五条の方を見て、笑顔で「やっぱなんでもない」と取り消した。
なんだったんだ。
私がいなかった間に五条になんかあったのか。
聞き返そうとしたが、応援する声にかき消されてタイミングを逃した。
「虎がんばれーっ」
「愛しの雪女が来てくれたぞー!」
「ばっかお前!虎フラれたんじゃなかったか!?」
「そ、そうなの?」
「戻ってきたときの顔からして、間違いねえよ」
私も五条も聞こえてますが。
五条がこっち見てるのに気づかないのか。
「うるせええええ!まだフラれてねえよ!!」
「まだってことはフラれるんだろ」
「ばかだなあ、虎」
「雪ちゃん優しく言ってあげてね?」
これは小学生がする会話なんだろうか。
地面に体育座りをしながら、一生懸命走っている五条を眺めた。