「いよっしゃー!1組優勝するぞーー!!」

「「「「おーうっ!!」」」」




肩を組んで五条の声で士気が上がる我々。




うん、いつも通りだ。




「1組と2組の人は集まってくださーい」




審判が呼び掛け、私たちもコートに整列する。




「虎っ、頑張ろうぜ!」

「当たり前だろ」




立松が五条に絡む。


一瞬五条と目が合ったか、すぐに反らされた。


これは………いつも通り、か?




「雪ちゃん、張り切ってくよー!」

「美景ちゃん。うん!」




もう一度五条の方を見てみると、もう目は合わなかった。




「………雪ちゃん?」

「あ、いや。なんでもない」




頭を振って試合に集中しようと前に並んでいる2組と向かい合う。




「ゆゆゆ雪ちゃん!」

「うん?」

「あ、あそこ見て」

「えーと」




美景ちゃんが小声で指した相手は、結構かっこいい男の子……。



「山田じゃん!うわー、面白くなりそう」

「美景ちゃんたら……」



昨日の掃除時間に山中くんが話してた山田だ。



あ、こっち向いた。



「おおおお?雪ちゃんに手を振ってますな」

「本当だ」



へへっ、と笑いながら手を振ってくる山田に戸惑いながらも振り返す。




「………虎はすごい顔しちゃってるケド」

「ん?なんか言った?」

「別になんも。あ、始まりそうだよ!」




何人か補欠にまわり、後半戦に備えている。




ピーッと審判の笛で試合が始まった。