虎と雪女

「それじゃあ、着替えを始めてくださーい」




チャイムが鳴り、更衣をする時間になった。



児童は全員来て欠席はいない。




教室の真ん中をカーテンで区切り、黒板側を女子、後ろのロッカー側を男子と分けた。




私は自分の席で更衣をしていると、教卓で更衣をしていたとある女の子が話しかけてきた。





「そういえば雪ちゃん、虎にコクられたんだって?」





またこの話題か。




一体どこから情報が……。と考えて立松かと自問自答。





「え、ついに!?」

「それ誰情報?」

「立松」

「あ、じゃあ本当なんだ」

「なになに。虎ついに告白?」

「らしいよ」




1人の子が私と話している内容を聞き、徐々にそれが広がった。



赤白帽を被って、美景ちゃんが着替え終わるのを待つ。




「虎はなんて言ったの!?」

「えーっと……」

「いつ、いつ!?」

「き、昨日」

「昨日のいつ!?」




質問攻め。


まるで転校生にでもなった気分だ。



五条であろうがなかろうが、あんまりこういうことを他人に話すのは気が引ける。




どうしたものかと迷っていると、助け船が入った。




「はいストーップ」

「えー、いいじゃん」

「美景ケチー」

「ケチでけっこう。雪ちゃん行こう」

「あ、うん」




美景ちゃんも着替え終わったみたいで、私の手を引いて教室を出た。




「美景ちゃんありがとう」

「ううん。親友に近いウチも聞いてないのに、ただの友達が聞いたとなると怒るよ」

「え……、私親友だと思ってたんだけど…」

「ーっ!雪ちゃん大好きーーッッ!虎に渡すかバカヤロー!」




ガバッと横から抱きつかれたが、悪い気はしない。