虎と雪女


「俺、昼休憩ドッジをやってたんだよ」




山中くんは昼休憩に山田と会ったことを、話し始めた。



掃除時間終了まで、あと8分程度。




「そしたら隣で山田たちがサッカーやっててさ、俺話しかけられたんだ」

「ちょっと山中。そんな深刻な話したの?」




美景ちゃんが眉を寄せながら山中くんに詰め寄るが、山中くんは違うよと否定した。




「で、なにを話したの山中くん」

「お前のクラスに雪女って呼ばれてる佐々原と五条いるだろ、って」




確かにいるけど。

それがどうかしたのだろうか。



私と美景ちゃんは、それだけでは話が読めなくて山中くんの話に集中する。



「で、その……。2人は仲良いのかって聞かれてさ」

「仲が良い?私と五条が?」

「まあ、悪くはないよね。普通じゃん」




喧嘩をしたことはあるけれど、些細なことだったし。かと言って2人で遊んだり楽しい話をするような関係でもない。


普通だ。




「で、山中はなんて言ったの?」

「普通じゃない?って。でもそう答えたら今度は、じゃあどっちかというと?って……」




むっ、なんかグイグイくるね。


山田ってそんな奴だったかな。



私は壁に背中をあずけて、山田を思い出す。



私の中に残っている山田は優しい少年。


私のことを馬鹿にしたり、悪口を言う人ではなく、優しい男の子。