虎と雪女

「違う違う!!!立松はディフェンスだろ!」

「ディフェンスってどこだよ!?」

「守るんだよ!」




五条を中心に私たちのチームは動く。

立松はバスケが体育以外で遊んだことがなく、ボールをずっと追いかけることしかしなかった。

それに対して五条が指摘する。



「なんかボールまわってこないねー」

「まあ、女子だし。

特に私は運動オンチだし」

「でも美景は動いてるよね」

「美景ちゃんは運動神経いいから」




美景ちゃん以外の女子と話しながら、コートの隅っこで眺めている。


体育館の電気をつけなくても、窓から入ってくる太陽の光だけでも十分明るい。


そんな中で、1人の女子____美景ちゃんがせっせと走って頑張っているのを私たちは眺めるだけだった。



「澤田、パス!!」

「青木ー!」



美景ちゃんの活躍は男子に勝る。

速い足に高い身長、ボールのコントロールや瞬発力。

抜群すぎて私たちの出番なし。



「でもさあ、美景だけっていうのも悔しくない?」

「羨ましいよねえ。美景上手いし」

「じゃあやればいいのに」




そう言ってみると「無理無理」と苦笑された。


確かに美景ちゃんは上手い。


でも羨ましいならやればいいじゃん、と思うのは当然。



「美希たちが出たところでボールまわってこないし」



美希ちゃんの一人称は美希。

ふんわりカットが可愛らしい。



「私は足ひっぱっちゃうから....」

「雪ちゃんは頭良いからさー、別に運動できなくても........っ!?」



3人して落ち込んでいると、急にボールがこっちに飛んできた。


それを咄嗟に避ける私たち。