虎と雪女




午前中の授業が終わり、給食の時そわそわしていたクラスメートだったが、昼休憩を知らせるチャイムが鳴ると一斉に校庭へ飛び出した。


種目決めが終わると五条が「昼休憩皆で練習しようぜ」と張り切っていた。


皆もノリノリでその案を呑み、私たちバスケチームは体育館へ向かった。



体育館は、誰も使用していなかった。


まあ、他のクラスは午後に決めるらしいし、普段体育館は昼休憩は使用禁止。



五条たちは何度も忍び入ってるらしいが。



今回は球技大会の練習ということで許可が降りた。



「よっしゃ!やろうぜ!!」



五条の一声でバスケチームはじゃんけんし、2チームに分かれた。



「私と同じチームは........」



誰がいただろうと、キョロキョロしていると後ろから腕を引かれた。



「雪ちゃんはウチらと同じチーム!」



イエーイ、とピースしたのは美景ちゃん。
腕捲りをしてやる気満々だ。


美景ちゃんもどうやらバスケだったようで少しホッとした。

美景ちゃんは私と違って運動神経抜群。
今日の授業の水泳だって速かった。


美景ちゃんがいれば勝てるかもしれない。




「頑張ろうね、美景ちゃん!」

「おおお、雪ちゃんがいつになくやる気だ」

「頼りにしてるから美景ちゃん」

「期待はしてないよ、雪ちゃん」




2人で微笑みながら話していると、間に五条が入ってきた。


あ、ボール持ってる。



「俺も同じチームだからなっ」

「虎、なにニヤけてんの?そんなに嬉しい?」

「なっ、なんだよ!!」



五条よりも少しだけ身長の高い美景ちゃんに、ガルルと吠える。


さすが名前の虎なだけはあるな。


同じチームの立松から渡された赤いゼッケンを身に付けながら他の女子と一緒にコートに入った。