虎と雪女

あぁ、こんなシーンがこの前読んだ恋愛小説にあったな。




夕日をバックに、はないけれど。





五条は立ち止まったが、私のほうを見ようとはしない。







私に呆れたか。

私のことが嫌いになったのか。





そんな考えが過ったが、言葉にしてみないと、何事も伝わらない。





手汗をスカートで拭き、一大決心をして話しかけた。







「五条、私最初あんたのこと嫌いだった」




嫌いというワードに、反応を示した。



けれど、続きを聞こうとしてくれているのか、そこから動くことはない。





「私のことが嫌いなのかと思ったし、変なことばっかりするし」

「………」





俯き、ぼそっと呟くように喋る。


五条の顔は、見えない。





「でも結構良いやつだし、優しいところもあるし」





よく見ると、優しいやつ。

ただ悪口を言うわけでもなく、自分の感情に素直なやつ。



そこが、また好きなん…だと思う…。



恥ずかしすぎてどこが好きだとかは、口に出せないけど。