虎と雪女




もういいよ








まさかそんなことを言われるなんて思ってなかった。





なにがもういいの?






お腹のあたりが痛くなった。






私は唇を噛み締めて、保健室を飛び出した。









今だから、言わなければならない。



もうおそいのかもしれない。




支配するのは五条への気持ち。






「……じょ、ごじょ…!」







運動の苦手な私だけど、精一杯走り、階段を駆け上がる。



どこ、どこ!



視界がぐにゃりと歪んだが、手の甲でごしごしと拭った。





髪がボサボサになりながら、スカートをなびかせながら、五条を探す。





暑いなあ、なんて呑気に思う暇はないけど、汗がこれでもかと出てくる。







「……五条っ!」







いた、いた。




4年生の階の廊下を歩く五条。



それを一生懸命追いかけなが、叫ぶ。










「五条っ!!」










五条の足が、ぴたりと止まった。