「でも佐々原はそんな馬鹿が好きなんでしょ?」
「は、は?」
馬鹿ってもしかして、五条のこと?
なに、バレてんの!?
それともカマかけてんの!?
「俺のほうがクラス同じになったの先だったし、勝てるかと思ったんだけどな」
「だーかーらー、主語はどこよ」
「サッカーよりもこっちで負けるほうがキツいんだなあ」
はあ、と溜息を吐く山田。
溜息吐きたいのはこっちなんだけど。
「でもなあ。分かってほしいような、分かってほしくないような」
「だからなにが………」
なにが言いたいのかはっきして。
さすがに我慢できず、そう言うはずだだったのに、言えなくなった。
頬に感じる、暖かくて柔らかいもの。
驚きと、なんでっていう気持ちで。
山田の唇が、私の頬に触れたその瞬間、再び保健室の扉は開かれた。



