虎と雪女

「ちょっと痛いかもしれないけど、がまんしてね?」

「うん……っ!」




遠慮なく、容赦無く消毒液をかけてガーゼで拭き取る。


痛いということは、山田のしかめている顔でわかる。


拳を握り締めて耐えている姿に、やっぱり良い人だなと思う。




痛いなら痛いって言えばいいのに、気遣ってなにも言わないは、さすがだ。




五条なら、痛い痛いやめろよと叫ぶのに。




「そういえば、その格好はなに?」

「え?」




言い方が理解できないものだったか。




「それってユニフォームだよね。なにかやるの?」





下から見上げる私に、ふいっと目を逸らしながら「サッカー」と答えた。



サッカー?




「これからサッカーの練習あるから」

「学校で?」

「いや、習ってるんだ。サッカー」

「へえ…これ聞いてもいいのかな。なんで転けたの?」




絆創膏を膝に付けながら問う。