虎と雪女


音がした扉のほうを見てみると、男の子が立っていた。




「あ、山田だ」




球技大会以来の山田だった。


少し汗をかいていて、服装はなにかのスポーツのユニフォームだ。




向こうは私がここにいたのに驚いているのか、私を凝視している。




私は椅子から立ち上がり、ベンチのような長椅子の前に行った。




「え、さ、佐々原?」

「うん。久しぶりだね」




ここに座って、と長椅子をポンポンと叩いた。



躊躇っていたものの、失礼しますと言いながら座った。




「で、どうしたの?」

「あ、あぁ。コンクリートの上で転んじゃって…」




しゃがんで山田の膝を確認すると、血がたくさん出ていた。


派手に転んだのかな、と思いながら、棚 から消毒液や絆創膏を探す。




「……佐々原はなんでここにいるの?」

「うんー?保健室空けるから、いてくれって頼まれたの」




あれー?消毒液ってこの辺りじゃないのかな。


棚の中を漁りながら山田のしつもんに答える。




「今更なんだけど、球技大会のとき大丈夫だった?」

「もちろん。心配してくれてありがとう」





お、あったあった。


絆創膏は…もしかしてこっちの引き出しか。



引き出しをあけてみると、ビンゴ。




他にもピンセットやガーゼなどを取って、山田の前に跪く格好をした。