「藤田先生なにか用ですか?」

「佐々原さん、来てくれてありがとう」





職員室の藤田先生のデスクまで行くと、まずその机の上にあるプリントの量に引いた。



もしかして藤田先生、片付けとか苦手?



山のような紙切れを他の先生は指摘しないのかな……。






「実はね、今日保健委員の子が皆放課後用事があるみたいでね」

「はあ……」





保健委員?


私は委員会に属してはいないけど……。





「今日の放課後5、6年生は野外活動や修学旅行のための特別授業のようなものをやるんだよ」

「……はあ」





放課後にそんな特別授業とやらをやるのは、ウチくらいなもんですけどね。



とは口に出さない。





「そこで、だ」

「はい」

「4年生で保健室を任せられる生徒は誰だと考えたときに、佐々原さんしかでてこなくて」





そういえば保健室の先生と藤田先生は付き合ってるんだっけ。


なら、藤田先生が4年生で頼れる人を探しているのも頷ける。


困ってる彼女のためだもんね。





「どうしても用があるっていうなら別だけど」





眉を八の字に下げて頼む先生を邪険に扱えるほど、私は悪人ではない。




「いいですよ」




もちろん引き受けた。