尚と映画をみた後は、近くのレストランに行くことになった。
会話のないまま、食事を進めるあたしたち。
…………言うなら今しかない。
もし、今言わなきゃ、もう二度と言えない気がする。
あたしは京の事が好きって、今までありがとうって言わなきゃ。
今日だって、尚といる間もずっと、あたしは京のことばかり考えてたもん……
「尚……」
「なに?」
「っ……何でも、ない……」
ダメだ。やっぱ怖いよ……
尚を傷つけたくない……
もう、このまま、ずっと言えないんだ、きっと。
あたしが臆病だから……
すると、急に尚の手止まった。
「尚、食べないの?」
あたしがそう言うと、下を向いてた尚が顔を上げた。
その表情は、とても真剣で……
尚の表情から、これから何か大切なことを言うんだってすぐに分かった。


