「くるみ!ちょっとおいで」


休み時間。あたしは急にみっちゃんに呼び出された。


怒……ってはいないと思うけど。


「ねぇ、あんたどうすんの?」


「どーするって……?」


「坂下くんのことに決まってんでしょ!」



…………?


「好きなんでしょ?坂下くんのこと」



「え…なんで?」



「あんた見てれば分かる。どう考えても坂下くんに恋してるね、あの顔は」



「いや、でもあたしは尚がっ……」



あれ?あたし最近いつ尚のこと考えたっけ?


…………ううん。考えてない。


あたしはずっと……


寝る時だって、授業の時だって……


……誰のこと考えてた?


誰の顔が浮かんでた?




…………あたしは、ずっと京のことばかり考えてたんだ。京の笑顔ばっか思い出してた。



あたしの頭の中は……いつだって京のことだけでいっぱいだったんだ。




「あんたは、いつの間にか坂下くんに恋してたんだよ」




そっか……あたし、京のこと。