キミだけ。





私たちは今、自販機の前にいる。


坂下が奢れなんて言うから…



「はい。どれにすんの?早く選んでよね」



私がそう言うと、坂下は自分の財布からお金を取りだし、カフェオレのボタンを押した。


「あたしに奢らすんぢゃなかったの?」


すると、坂下は少し顔を赤くした。


「お前は?」

「え?」

「どれにすんの?」


これは…もしかして…!



「あたしの分も買ってくれんの!?」


「いらねーの?」


「いる!いります!イチゴミルクでお願いします!」


「ははっ。りょーかいっ」


坂下は、笑いながらイチゴミルクのボタンを押すと、私にくれた。


「ありがと!」


「別に…」


こんな奴でも、優しいとこあるんだな…


「坂下って以外と優しいんだね!」


「うっせ。早く戻んぞ」


いつもこんな風に優しくなればいいのに。

まぁ、そんなことを坂下に言えるわけがなく、私たちは教室に戻った。