暫くコール音が部屋に響き、 向こう側のザワザワとした 雑音が耳に入って数秒。 「はぁいー?」 軽そうな、 いや、軽い軽い返事が、聞こえた。 私は静かに訊ねた。 「くろに、何をしたの?」 すると向こう側で恐らく キラキラの瞳をさせたことが 想像容易い声で、 「温泉でしょ!」 とはしゃぐ声がした。 私は大人だ。 そんな小さなことでイライラしたりしない。 「おい、どういうことだ、金髪。」 うん、しないはず。