するとくろが目をきょときょとさせて 幾度かまばたきをして、 ふいっと視線を分かりやすく 外した。 そして、早口に「知らない。」 と言ってから「でも行きたい。」 と付け足した。 この子、嘘が下手すぎる。 ふいっと視線を外すなんて 今どき小学生だってしないだろう。 そんなちょっと、抜けているところがいつもなら愛しいけど、 今回は何故だか嫌な予感しかしなくて。 私はくろに「そう。」 とだけ告げると スマートフォンを取りだし あるところへ迷わず ダイヤルをかけた。