(若い証拠なのかな)
まだまだたくさんの経験値を重ねる必要が彼にはある。
それをさせてやるのが今は俺なわけで。
頑張りどころだ。
せめてもう少し静かに空気を読めるようになってくれると助かるのだが。
そう思ったが、それはそれで神崎くんらしくない気もする。難しいところだな。
「でも…せめてこれが届いた日くらいは大人しく退散してもらいたいもんだよな」
まぁ今回は俺の失態だけど。
そう薄く微笑んで、天井に向かってかざしたのはあのブラックレター。
黒い封筒が蛍光灯に照らされ薄く色付く。
いつもと変わらない薄さの封筒に、いつもと同じ少し癖のある文字。
なにも変わらないそれに自然と頬が緩む。


