彼女がその言葉しか書かない意味が。
その言葉だけを書く意味が。
「なんて書いてあるんですか?」
さすがにそれは教えてくれますよね、と言いたげにキラキラとこちらを見てくる神崎くんだが、残念。
「…それは秘密」
そう言って俺は意味深に微笑んだ。
そんな俺に、えー!とあからさまに残念がる我がマネージャー。
よっぽどこのブラックレターに興味があるようだ。
そんなに興味の対象になるほど、はた目からも特別に見えるのか。このブラックレターは。
だが彼にこの手紙の内容を教えるつもりはない。
誰にも、教えるつもりはないのだ。
これは俺だけの、俺と彼女だけの秘密。
「ほら、俺もう休むから!帰った帰った!」
そう言って俺はブラックレターを机の上に置きソファーから立ち上がる。


