ブラックレター~高嶺の花に恋します~





そんな彼の表情にさらに俺の眉間に力が入った。




(なんであれが有名なんだ…?)




何度も言うようだが、中身を見せたことは絶対にない。

というか触らせたこともない。


もっと言えばこの手紙を読んでいるところを見られたこともないはずだ。

人前であの手紙を開くなんてこと俺がするはずない。




(だって、あれは…)




あれは、俺だけが見ていい手紙なのだから。


俺が勝手にそう決めているだけだけど。


初めて受け取ったときから、あれだけは誰にも触らせたことはない。


それなのに何故あの手紙が知らぬところで有名になっているのか。

俺たちってどれくらいの規模で有名なんだ。


不思議に思った俺だったが、次に神崎くんの口から出てきた言葉に自分の耳を疑った。