ブラックレター~高嶺の花に恋します~





「なんでそんなにあれが気になるの?」




とりあえず今回は自分の責任なので神崎くんに付き合おうと、ソファーに腰を下ろして問い掛ける。


そういえばブラックレターについて人と話すのは初めてかもしれない。

特にあれについて誰かから聞かれたことはなかったし、何よりあれを読むのは俺一人の楽しみだから。


俺がそんなことを思いながら首をかしげれば、話す態勢になった俺に気付いたのか神崎くんは嬉しそうに口を開いた。

そして彼の軽く弾んだ声が部屋に響く。




「だってブラックレターですよ?俺らの間では超有名なんですから!」


「…有名?」




その言葉にぴくりと眉を寄せて彼を見れば、そこには嬉しそうに、というより楽しそうに笑う彼がいて。