「…っていうかさ、一つ聞いてもいい?」
「ん?なに?」
うんうんと唸る私の目の前で、絢子は挙手をして私の思考を止めさせる。
その声に一旦考えるのを止め便箋に向けていた顔を上げ絢子を見れば、しかめっ面した彼女と目が合った。
え、なに。怖いんだけど。
思わず少し後退りする私。
そんな私に構うことなく、彼女の指は私の手元をトントンと指差す。
「さっきから気になってたんだけど。なに、このレターセット」
「へ?」
絢子が指差したのは机の上に散らばっているレターセットで。
私も絢子の指の向かう方向へ視線を下げてみる。
だが、そこにあるのは普通の便箋と封筒。
何の問題があるのかまったくわからない。


